アンドビール

勝沼町小佐手に工場新設、醸造所統合のお知らせ

2025/01/18

2025.1.19
新年早々超BIGなお知らせです!

 タイトルの通り、アンドビール(合同会社カンパイ日和)は、2024年末にこれまで稼働していた2拠点の醸造所(高円寺醸造所・勝沼醸造所)をクローズして、勝沼町小佐手に新工場を設立するとともに、2025年始から「醸造機能を山梨県甲州市勝沼に1本化」することにしました。新工場の場所は勝沼町小佐手・赤坂地区。錦城葡萄酒さんという80年以上の歴史があるワイナリーに隣接して、葡萄畑に囲まれたとても気持ちの良いところです。

2025年1月上旬に醸造免許移転が完了し、醸造開始いたしました。今後は新工場にて、更なる魅力的なビールづくりに励んでいきますので、アンドビールのビールを引き続きどうぞよろしくお願いします。


以下には、本件の経緯と今後の展望を書き記しますので、ご興味がある方はぜひ一読いただけますと幸いです。


高円寺と勝沼の2拠点での醸造所運営のこれまで

 コロナ禍の2021年に、こちらの投稿の通り、アンドビールは勝沼町勝沼にバレルエイジドビール用の蔵置所を設立しました。その後2022年にはその蔵置所に醸造設備を導入して、小規模ながら勝沼醸造所を稼働開始しておりました。以降足掛け3年間、創業の地である高円寺醸造所と、勝沼町勝沼に位置する勝沼醸造所の2拠点で、「都心とローカルを旅するブルワリー」を標榜してクラフトビールの醸造に取り組んでおり、東京と山梨双方で活動してきました。今回、その2つの醸造所を両方クローズして、新しく大きな工場にひとまとめにすることになりました。自分たちでも驚きの展開ではあります。

 

 元々勝沼に醸造所を作った時から、「将来的には勝沼に醸造所を1本化したい」という気持ちを持っていました。東京は賃料の高さなどから、効率の良い醸造環境を作ることが難しく、また場所をとる長期熟成ビールなどにも不向きです。そこで我々は2021年に、東京での醸造所拡大ではなく、勝沼に新拠点を設置することを選んだ経緯があります。一方で、高円寺の工場は2017年の創業以来現役で動いており、小規模で非効率ながらも、「東京のこの場所(高円寺)でビールを作って提供している」というマイクロブルワリーの面白さもこれまで感じていました。

 それらの状況から、「しばらくの間は2拠点の醸造所の良さを生かして活動していこう!」と決めて活動してきました。想像の通り、拠点がまたがることで管理面や人材面でのもどかしさを感じることはありましたが、同時に面白さも感じており、「やれるところまでやってみて考えよう!」とこの3年間を過ごしてきました。


新工場新設への経緯と転機

 

 しかしながら、さまざまな課題が発生して、その先のことを考えざるを得ない状況になりました。

 転機としては、高円寺の工場の設備不調が一つです。高円寺工場の内装部分や設備部分にトラブルが続出。これまでも騙し騙しやってきたのですが、大きなトラブルにより、利用継続には多額の修理費用が必要な状況に陥りました。将来的に1つにまとめたいという思いがある中で、「その修繕費用を出すなら、未来にダイレクトにつながる投資をした方が良いのではないか」、という考えが頭をよぎりました。しかし勝沼工場は、2工場をまとめて、1つの工場にするには敷地が足りないという状況でした。つまり、無理やりにまとめると単純に醸造総量も減少してしまいます。拡張性がある敷地があれば、勝沼に工場が1本化できるが、その場所がない、という状況でした。

 そんな中、更なる転機が訪れます。様々な方向性を模索する中、勝沼の錦城葡萄酒さんから新工場の物件を貸していただけるお話をいただきました。勝沼で活動してきたことがご縁につながったのです。その物件もまた、葡萄畑に囲まれた素敵な場所。また、元々鉄工所だったということで、電気系統のインフラが整っており、移転の工事費用をかなり抑えられそうだったことも大きいポイントでした。敷地面積もかなり広くて、今後さらなる拡張の必要性が発生しても別の場所に移転する必要もなさそう。つまり我々のマスターピースとなる工場をこの場所に作れるのではないか、と感じました。

 もちろん、創業以来7年使って愛着のある高円寺工場をクローズすることも、たった3年しか使ってない勝沼工場をクローズすることも、それだけ単体で見ると、情緒的にも経営的にもどうなのだろうか、と悩みましたし、金融機関から見ても「おいおい」という早急な行動にも見えると思いました。

 しかし、考えれば考えるほど、「新しい場所への投資は未来に確実に生きる」と感じ、勇気を出して、「新工場を設立して1本化する」決断をしました。

今後の展望

 そんなこんなで、動き出した新・勝沼醸造所。

 2024年末には2つの工場は停止し、それらの設備を全て新工場に運び入れて、設備の組み上げや給排水、電気、ボイラーなどの工事も完了しました。2025年1月には醸造免許の移転も完了し、先日ついに、ファーストバッチ「旅するWIPA」を醸造しました。2月中旬以降、新工場で醸造したビールを続々と皆様にお届けできる予定です。そして年内には新しい発酵タンクも導入予定で、もっと多くのお客さんに届けられるように醸造量を増やしていく計画です。

 工場こそ新しくなりましたが、我々がやることについてはこれまで掲げてきたことと大きく変わりません。醸造所がひとまとまりになって、より効率的で拡張性もある場所で、これまでやろうと思っていたこと、実現したかったことを一つ一つ粛々と実現したいと考えています。

 そして、高円寺の醸造所こそクローズしましたが、我々には東京に「アンドビール」「olla」という2つの店舗拠点があることは変わりません。我々自身も東京と山梨、また世界中を旅することを続けて、「旅するブルワリー」であり続けたいと思っています。今まで楽しんできてくださったたくさんのお客さんに、変わらず我々らしい面白いビールを届けられるように引き続き頑張っていきます。

 時を旅するバレルエイジドビールの醸造、各種フルーツなど副原料を生かしたコラボレーティブなビールの醸造、また全国各地や世界と繋がれるように、ボトルビールの安定したリリースも目指していきたいと考えています。たくさんインプットをして、たくさんアウトプットをする、旅するブルワリー、アンドビールを引き続きどうぞ、よろしくお願いします。

最後に

 私ごとながら、今回の決断を後押しした理由がもう一つあります。我が子の誕生です。2023年末に第一子を授かりました。2024年末には1歳となり、「どこで息子を育てよう?」、「保育園どうする?」という大きな転機がプライベートでも訪れました。大人だけなら2拠点移動もできますが、子供のためにある程度腰を据えなければならないこともあります。考えた結果、私たちは子供を自然豊かな山梨で育てることに決めました。そのことが、「山梨の仕事を増やしたい」という気持ちに繋がり、今回の決断を後押しすることになりました。我が子にかっこいい背中を見せられるように、より一層身を引き締めて、取り組んでいこうと思います。

代表 安藤 耕史 安藤祐理子

—–

breweryのinstagram (https://www.instagram.com/andbeer_brewery)